发信人: januswon(ジャネス)
整理人: wasabi_beauty(2003-07-19 21:31:38), 站内信件
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「ってゆーか」の使い方
<現代若者ことば考 ー 小矢野哲夫>
「ってゆーか」のもともとの使い方は、その前に何かの言葉を付けて「春めいたってゆーか」とか「治ったってゆーか」のように言って、その後に、「なんとなく、春の感じがしてきたね」とか「普段通りの生活ができるようになった」のように、別の内容を続ける言い方である。これの、前の言葉が省略されて、いきなり「ってゆーか」で始めて、後の内容を続けるようになったのか、「ってゆーか」の新しい用法である。これは会話の中で作られたもので、相手が言った内容を言葉で繰り返す代わりに、それは分かっていることだとして省略したものである。
似たようなことは、「だけど」にも当てはまる。相手が言った内容に対して、「それはそうだけど」という受け止め方をして、「それはそう」を省いて「だけど」だけを独立させたものである。
「ってゆーか」の機能としては、「なんてゆーか」とか「どう言えばいいのか」のように、はっきりと断言できない事柄について、ひとまず暫定的な回答を出しておくという気持ちがあるのではないだろうか。「ってゆーか」の後に言いよどみが生じることもある。
しかし、「ってゆーか」の用法が発展して、「しかし」のような、反対の関係にある内容を続けるための合図の機能を持つようになった。そのばあいには、言いよどみはなく、即座に反対の内容が示される。相手の言った内容に対して単純に同意しているのではないという態度が含まれている。しかし、相手を完全に否定するのでもない。核心に迫るために、関連する内容を示して、相手と共同の会話を作っていこうという姿勢も感じられる。「違う」とか「そうじゃない」とか言えば角が立つところを、ちょっとかわして別の角度から自分のアイデアを示すという意識だろう。このばあいでも、文の終わりは断定口調を避けて、ぼかす言い方をするようだ。
「ってゆーか」という形だけをみると、反対意見の表明のように見えるのだが、実はその前と後にも目をやると、話し手と聞き手が共同作業として会話を作り上げていることが見えてくるのである。
「ってゆーか」の進化形として、相手の言ったことを受けないで、いきなり、だしぬけに「ってゆーか、お腹すいた」とか「ってゆーか、お昼ご飯食べよう」といった言い方もあるようだ。
似たような用法に「しかし」がある。これの一般的な使い方は、前に述べた内容と後に続く内容が、反対の関係にあることをつなぐ役目を持っている。ところが、だしぬけに、「しかし、あんたもよう食べるなあ」とか「しかし、暑いなあ」とかいう言い方は、すでに知られているだろう。このような用法は、目の前の出来事や状況を言葉に描かないで受け止めて、それとの対比によって捉えたものだと考えられる。
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